タグ系(Tag Systems)は、エミール・ポストが1943年に発表した、文字列の先頭から一定数の文字を削除し、その削除結果に応じた文字列を末尾へ追加することで計算を進める極めて簡潔な計算モデルである。与えられるルールは、削除数、アルファベット、生成規則の組によって定義される。見た目は単純だが、計算理論では深い性質を持ち、特に2-タグ系は重要な研究対象となってきた。

歴史的には、2-タグ系は複雑な挙動を示さないと考えられた時期があったが、1960年代にミンスキーがチューリング・マシンをシミュレートできることを示し、万能性が証明された。さらに近年の研究では、2-タグ系がチューリング・マシンの計算を多項式時間で効率的にシミュレートできることも示されている。こうした結果は、非常に小さな規則系であっても強力な計算能力を持ちうることを示す。

また、タグ系は数論的な問題の表現にも用いられ、コラッツ予想の反復操作を文字列操作としてシミュレートする例が知られている。初期文字列から開始すると、予測しがたい拡大と収束を繰り返し、停止に至る場合がある。タグ系は、単純な形式の中に複雑性と計算的万能性が統合されうることを示す代表例である。