PastRain BloomsKazuhiro Tanimotoこの度、NEORT++はKazuhiro Tanimotoの個展「Rain Blooms」を開催いたします。 本作品は、作家が2年にわたり独自のセル・オートマトンのアルゴリズムを追求し続けた実践の成果です。セル・オートマトンとは、格子上の各セルが近傍の状態に応じて更新される計算システムであり、全体を統括する司令塔は存在しません。作家が設計するのはあらかじめ完成された形ではなく、ピクセル単位の局所的なルールであり、そのルールの反復実行から制作者自身も予期しない多様な現象が立ち上がり、変化し続けます。それは、単純な規則の集積が複雑な秩序を自ら編み上げていく終わりのないプロセスです。 本作品では、近傍セルの取り方を古典的なセル・オートマトンより広く設定し、複数の「種族」間に攻撃・同化・無視といった関係性を持たせ、さらに各セルに生命力のパラメータを導入しています。これらの局所ルールの積み重ねから、湧き立つような有機的な動き、直線的で無機的な動き、そしてそれらが織りなす複雑なパターンが現れます。またキャンバスに絵具を垂らすように外部から投入された図形は、即座にセル・オートマトンの一部として振る舞い始め、周囲との相互作用を通じて崩れ、増殖し、別のかたちへと変化していきます。音もまた、セルの色相・明度・彩度の変化から生成され、ビジュアルとオーディオは同一の生成過程に由来するものとして結びつきます。 本展示では、「Rain Blooms」をイマーシブな空間として構成し、コードのリアルタイム実行によって変容していくイメージと音の中に、鑑賞者が身を置く体験を作り出します。壁面を満たすイメージとサウンドは、視覚と聴覚の境界を溶かしながら鑑賞者を包み込みます。作者の意図を離れた生成システムから編み上げられた秩序と混沌に、どのような美が宿るのか。アルゴリズムが創造するその可能性を本展を通じて提示します。
On View
May 15, 2026 – May 31, 2026
Venue
NEORT++
Passing
PastPassing古澤龍本展では、古澤龍による新作《Passing》を展示する。列車の車窓から撮影された映像に独自のデジタル処理を施し、「通過」という時間経験そのものを変容させる作品である。列車の窓から風景を眺めるとき、私たちは流れる風景から、自然と奥行きを知覚する。近くの電柱や建物は速く流れ、遠くの山並みはほとんど動かない。この速度の勾配が、奥行きを知覚させている。しかしこの仕組みは、観察者と対象が同じ三次元空間を共有し、時間が一方向に流れるという前提のもとで成立している。この前提条件が崩れたとき、観察点と対象の関係、距離、速度、時間の知覚はどこへ流れつくのだろうか? 本作でのデジタル処理は、映像を写真の連続体として厚みを持たせることから始まる。各フレームを時間軸に沿って奥行き方向へ積層し、仮想的な三次元ボリュームを生成する。通常の再生はこのボリュームから断面を直線的に取得するプロセスだが、本作ではその断面角度を自由に回転させる。一枚のフレーム内で成立していた時間の同時性が崩れ、消失点へと収束する遠近法的空間は、水平線を媒介に、消失点のない平行投影へと漸次変容する。空間と時間の秩序が、静かに解体される。
On View
April 17, 2026 – April 26, 2026
Venue
NEORT++
Past大原崇嘉 - スクリーンの肉会期: 2026-03-13 〜 2026-03-29 この度、NEORT++は大原崇嘉の個展「スクリーンの肉」を開催いたします。 ステートメント 近年、映像メディアは解像度やフレームレートの向上によって、その媒介としての透明性を高めてきた。他方、ポータブル・デバイスの普及や触覚的インターフェースの常態化は、スクリーンを前景化し、映像を触れうる可能性を帯びた界面として経験させている。 この二つの傾向は、美術史家 アロイス・リーグル が区別した「光学的(optisch)」と「触覚的(haptisch)」という視覚のモードに通じる。前者が距離を保ち奥行きのなかに対象を捉えようとするのに対し、後者は距離を圧縮し、表面へと近接する。しかし今日のメディア環境では、両者は排他的に切り替わるのではなく、むしろ遠近法的な深さと界面的な浅さは、同一の経験のうちで同時に強調され、重なり合っているように感じる。 この状況のもとで、映像は主客の枠組みを越え、身体性や運動を含み込む出来事へと変わりつつある。この変容を考えるうえで、モーリス・メルロ=ポンティ の現象学は示唆的である。身体は世界を受け取る装置ではなく、関係のなかで意味を生成する「生きられた身体」である。 本展では、ディスプレイそのものが運動する状況をつくり出す。その状況のなかで鑑賞者は、それを目で追い、焦点を合わせ、周囲を移動しながら関わる。深さと浅さが交錯する場において、映像は身体と世界のあいだに生じる関係として立ち現れ、見ることの輪郭をゆるやかに揺り動かす。 助成:公益財団法人 花王 芸術・科学財団
On View
March 13, 2026 – March 29, 2026
Venue
NEORT++
Past村本剛毅 - Beautiful Medium会期: 2026-02-20 〜 2026-03-01 この度、NEORT++は村本剛毅との共同企画による資料展示「Beautiful Medium」を開催いたします。 概要 美しいメディア、ということがありえるだろうか? (書籍「Beautiful Medium」より)
On View
February 20, 2026 – March 1, 2026
Venue
NEORT++
Pastもつれのパターン / Patterns of EntanglementPrimavera De Filippi, sensorium, Helen Knowles, Deborah Tchoudjinoff, terra0, Libby Heaney, Matt DesLauriers, Kazuhiro TanimotoNEORT++は、2025年を締めくくる展覧会「もつれのパターン / Patterns of Entanglement」を開催します。 人間中心主義を超え、デジタルと自然のエコシステムが重なり合う場へ。Alex Estorick氏と庄野祐輔氏の共同キュレーションのもと、10組のアーティストが、人間、非人間、そして自然が織りなす新たな関係性のパターンを提示します。 展覧会概要 人新世において、人間は否応なく、非人間のエコシステムとの相互接続を理解することを迫られています。有機物とデジタルが融合し、人間が炭素とシリコンのハイブリッドへと変容する現在、アーティストたちがこの新たに重層化された存在を読み解く手がかりを提供します。 本展では、「メディアエコロジー」という概念を通じて、世界を倫理的・生態学的・社会的・政治的なプロセスが絶え間なく再生・変容・伝達される場として捉えます。参加アーティストたちは、人工的プロセスと生物、人間と非人間の間でメッセージを交換しながら、新自由主義的「現実」を別のエコロジーへと編み替える道筋を示します。 「もつれのパターン/Patterns of Entanglement」とは、個体からエコシステムまで、様々なスケールにおける接続性、相互作用、共生のパターンを読み解く試みです。量子もつれから森林のトークン化まで、10組のアーティストが持つユニークなリテラシーを通じて、常に異なる形で絡み合っている人間と非人間の関係性——を可視化し、テクノロジーや自然を美化することなく、人間中心主義を超えた別の現実への道を探ります。 キュレーター: Alex Estorick, Yusuke Shono インストーラー: Arikawa Hiroyuki サウンドインスタレーション: 箱崎健志 会場協力: CON_
On View
December 5, 2025 – December 21, 2025
Venue
NEORT++