人工生命(Artificial Life、ALife)とは、生命の本質とは何かという問いに対して、人工的なシステムを実際に構築し作動させることで理解に迫ろうとする研究アプローチである。1987年にクリストファー・ラングトンらがロスアラモスで開いた会議を出発点に領域として立ち上がり、計算機の中で生命的な現象を再現する「ソフトALife」、ロボットなど物理的な身体を用いる「ハードALife」、化学的な系による「ウェットALife」に大別される。重視されるのは見た目が生物らしいかどうかではなく、相互作用、自己組織化、変化、持続、予想外の振る舞いがどのように現れるかである。

方法論上の特徴は、全体のかたちを上から与えるのではなく、局所的なルールの反復から全体のふるまいが立ち上がるボトムアップ性にある。設計者は要素の状態、更新規則、相互作用の範囲を明示的に記述し、その積み重ねから秩序、崩壊、循環、増殖といった複雑な現象が創発する過程を観察する。したがってルール自体は明快でブラックボックス性が低い一方、そこから生じるパターンは予測が難しい。上位から与えた目的関数に向けて出力を最適化する人工知能とは、この点で対照的な位置にある。

代表的なモデルはセルオートマトンであり、格子状のセルが近傍の状態にもとづいて更新される系のなかでも、ジョン・ホートン・コンウェイのライフゲームが最もよく知られる。近年は状態と空間を連続化したSmoothLifeやLenia、局所更新則をニューラルネットワークで表現し学習によって獲得させるNeural Cellular Automataなど、機械学習と接続する研究も進んでいる。