ディストーションとは、像や信号が本来の形から歪められることを指す語で、光学ではレンズ収差による像の変形、音響では波形の意図的な歪みを意味する。デジタル画像・映像処理においては、画素の参照座標(UV座標)をずらし、どの位置から色を読み取るかを変えることによって生じる変形表現を指す。計算上の要点は、画素そのものを近傍へ移動させるのではなく、読み取り位置をずらして再サンプリングすることにある。そのため、見た目には画素が流れたり移動したように見えても、実際には座標写像にもとづく処理である。

前フレームの画像を参照しながら座標をずらし続ける手法はフィードバック・ディストーションと呼ばれる。この処理は、セルオートマトンのように近傍状態から次状態を決める局所規則の反復とも、ピクセルソーティングのような画素列の順序再編とも原理が異なる。ノイズ場、マスク、ベクトル場、制御用テクスチャ、時間関数といった外部からの座標制御に依存する度合いが高く、変形のさせ方が明示的に指示されるため、相対的にトップダウン寄りの手法とされる。一方で前フレームへの局所参照とフィードバックが強く働く場合には、結果として現れる模様の予測が難しくなり、Bottom-up的な性格も帯びる。

ディストーションは空間表現そのものの変換にも用いられる。消失点へ収束する遠近法的な空間を平行投影のような別の投影法へ移し替える操作を画像処理として実装することができ、絵画や映像における空間認識の変容を画面上で再演する手段にもなる。