ピクセルソーティングは、画素の値をキーとして画素の並び順を組み替える画像処理の手法である。輝度、色相、彩度、RGBの各成分などを基準に、行・列・任意の区間やマスク領域のなかで画素を並べ替える。結果として、被写体の輪郭が保たれたまま色が一方向に引き伸ばされ、絵の具が流れ落ちるような、あるいは画面が引きずられたような像が現れる。
処理を特徴づけるのは、しきい値の設定である。画面全体を一律に並べ替えると像は帯状に崩壊してしまうため、通常は明度や色の条件で並べ替える区間を区切り、条件を満たす連続した画素だけをソートする。しきい値、走査方向、ソートキー、区間の切り方といったパラメータの選び方が見た目を大きく左右する。2010年前後にキム・アセンドルフが公開したProcessingのスケッチを機に広く知られるようになり、グリッチアートの代表的な技法のひとつとして定着した。
見た目の上ではディストーションやセルオートマトンによる崩れと似ることがあるが、計算の中身は異なる。ディストーションは座標をずらして画素をどこから読むかを変える再サンプリングであり、セルオートマトンは近傍の状態と規則から次の状態を生成する時間更新である。これに対しピクセルソーティングは、既存の画素を保持したまま順序だけを操作する。あらかじめ定めた範囲と基準に従って全体を並べ替えるため、局所規則から形が立ち上がるボトムアップ的な手法に対して、トップダウン寄りの性格をもつ。