モバイル・オートマトン(Mobile Automata, MA)は、セルオートマトンに似た離散的な計算モデルであるが、更新が格子全体に並列に行われるのではなく、常に一つの「活性セル(active cell)」だけが対象となる点に特徴がある。活性セルは一次元のセル列上をルールに従って移動し、各ステップでそのセル自身の色を更新すると同時に、左右の隣接セルの状態を参照して次の移動先を決める。つまり、情報処理は局所的かつ逐次的に進行する。
この制約のため、MAでは情報の拡散や干渉が起こりにくく、複雑な挙動を示すルールはセルオートマトンに比べて少ないとされる。一方で、適切なルールを選べば、単純な反復、入れ子状の自己相似パターン、あるいは背景が統計的にランダムに見える複雑な振る舞いも生成できる。2状態のMAでは、局所近傍を参照するルールが65,536通り存在し、その探索からも階層的な挙動分類が観察される。
一般化モバイル・オートマトンでは複数の活性セルを許容し、分裂や消失も起こりうる。これは並列性を導入することで、MAの逐次性を緩和し、より複雑なパターン生成を可能にする拡張である。