ルール110とは、1次元2状態3近傍の初等セルオートマトンのうち、規則番号110にあたる遷移規則である。自分と左右のセルの状態から次の状態を決める8通りの対応をまとめた8ビットの数が110であり、左右非対称な規則になっている。ウルフラムの分類ではクラス4に属し、規則的な背景のうえを局所的な構造(グライダー、あるいは粒子)が移動し、衝突しては別の構造へ変わるという、秩序と混沌の中間的な挙動を示す。
ルール110が重要なのは、この単純な規則がチューリング完全であること、すなわち任意の計算を実行できる万能性をもつことにある。ウルフラムが1980年代に予想し、マシュー・クックが証明を与えて2004年に公表した。証明では、背景を走るグライダーを情報の担い手とみなし、その衝突を論理ゲートのように扱うことで、環状タグ系の計算をルール110の時間発展として構成する。3つのセルを見るだけの規則が万能計算に到達するという事実は、計算的等価性原理の代表的な根拠になっている。
局所的な規則の反復から大域的な複雑さが立ち上がる典型例であり、人工生命やジェネラティブアートの文脈でも基礎的な参照点として扱われる。