ルール30とは、1次元2状態3近傍の初等セルオートマトンのうち規則番号30にあたる規則で、ウルフラムの分類ではクラス3、すなわち非周期的で混沌的な挙動を示す規則である。中央の1セルだけを黒にした単純な初期状態から始めても、直後から統計的にランダムに見えるパターンを高速に生成する。左側には規則的な斜めの縞が現れる一方、右側は予測困難なまま広がり続ける非対称な図像になる。

この予測困難さは実用にも転用されてきた。ルール30の中央列は統計的な乱数検定を通過するため、Mathematica の擬似乱数生成に採用され、暗号用途の検討対象にもなった。ウルフラム自身、中央列の値を近道して求める方法が存在するかを問う懸賞問題を出しており、単純な規則が本質的に圧縮不能な情報を生み出しうるかという計算的既約性の議論に直結している。

同時にルール30は、自然界の模様との類似でも知られる。イモガイの一種の殻に現れる網目状の模様が、この規則が生成する三角形の分布とよく似ていることが指摘されている。単純な局所規則から複雑で視覚的に豊かなパターンが生まれる例として、ジェネラティブアートやセルオートマトンを用いた制作の参照点になっている。