自己組織化とは、外部からの集中的な制御や設計図なしに、多数の要素の局所的な相互作用だけから全体として秩序ある構造やパターンが立ち上がる現象を指す。中枢の指揮者がいないにもかかわらず秩序が現れる点が特徴で、雪の結晶や砂丘の紋様、化学反応における縞模様、魚群や鳥群の隊列、細胞から器官がかたちづくられる形態形成など、物理・化学・生物のあらゆる階層で観察される。熱力学的には、外部とエネルギーや物質をやりとりする開放系が平衡から遠い状態に置かれたときに生じる散逸構造として理解される。
計算のうえでは、セルオートマトンが自己組織化の最も簡潔なモデルとして知られる。個々のセルは近傍の状態だけを見て単純な規則に従うが、その反復から大域的な模様や移動する構造体が自発的に生まれる。近年のニューラル・セルオートマトンでは、更新規則そのものを学習させることで、ひとつの初期セルから目標の画像や形状へと成長する過程や、構造の一部を切り取っても残ったセルが情報を補って再生する自己修復のふるまいが再現される。レニアやスムースライフのような連続値の系も、粒子状のパターンが自律的に維持される例としてしばしば参照される。
自己組織化は創発と密接に結びつく概念であり、ボトムアップの生成手法を用いるジェネラティブアートや人工生命の作品では、作者が最終的な形を指定せず規則と初期条件だけを与えて、生成過程そのものを鑑賞の対象とする発想の基盤になっている。