《2023》は、1987年にアーケードゲームとして稼働した縦スクロールシューティングゲーム『1943 ミッドウェイ海戦』をモチーフに、2023年の世界情勢を重ね合わせたゲームアートである。『1943』では太平洋戦争のミッドウェー海戦を舞台に、プレイヤーはアメリカ軍の双発戦闘機を操作して日本海軍の艦隊や戦闘機を撃ち落とす。日本のゲームメーカーがこのゲームを開発したことは、戦後40年強を経た当時の空気を表しているともいえるだろう。日本のアーティスト・コレクティブであるEXCALIBURによる本作《2023》は、上述の稼働から更に40年弱を経た世界を問うものだ。1987年当時のゲームタイトルになった年号「1943」やプレイヤーの自機・ゲームUIなどが示唆的に置き換えられている。画面には「THE THIRD WORLD WAR」の文字が浮かび、本来、ゲームを始めるために必要な「INSERT COIN」は「NEVER INSERT COIN」と表示され、プレイすることができない。戦争を経済ゲームの対象として繰り返してはならないという意思が込められたノンプレイアブルゲームである。また、本作は時間によって海が変化するダイナミックNFTとして構成されている。ウクライナ、ロシア、パレスチナ、イスラエル、スーダンなど、2023年当時の紛争地域を含むUTC+2の時間帯を取得し、インターネットの「時間」が、世界各地で同時進行する現実であることを呼び起こす。私たちが歴史の傍観者ではなく、今なお続く現実の只中に生きていることを提示している。
EXCALIBURは、レトロゲームの視覚言語を引用しながら、現実社会を反映する新たな歴史画を制作してきた。《2023》は、戦争を「遊ぶ」プレイヤーとしてではなく、この時代を生きる開発者として未来への希望を問いかける作品である。