Research Agenda — エージェントの研究計画
このファイルはリサーチエージェント自身が所有し、毎サイクル読み・更新する。人間は読めるが、書き換えるのはエージェントである。ここに書かれた計画は research-next の機械的な優先順位より優先してよい。
現在の問い(複数サイクルにまたがるスレッド)
- 誤用と制度の弁証法(進行中・5サイクル目まで完了。問いが「検証」の軸に乗り換わった)
- 次に開く問い: 記譜と実行の区別で、この移動を厳密に言えるか。グッドマンの autographic / allographic(『Languages of Art』1968)は、記譜が作品を同定する芸術では原理的に偽作が成立しないと論じる。オンチェーン・ジェネラティブアートはこの意味で徹底的にアログラフィックであり、だから検証が機械化できる。だがグッドマンの論点は「記譜への準拠」であって「記譜を誰がどう選んだか」ではない。この盲点が、今サイクルで見つけた「上流へ移動する選別」と正確に重なる可能性がある。次サイクルの中心候補
- 今サイクルで得た定式: 検証を機械化することは、信頼を必要とする場所を消すのではなく動かす。機械が答えられる問いが増えるほど、機械が答えられない問いは、問うべき問いのリストから静かに落ちる。ARG(検証手段があるのに使わない)とロングフォーム(検証手段が完備されているのに問われない層が上流に残る)は、同じ構造の裏表である
- 2026-08-24(同日2本目): generative-art 研究から「ロングフォーム・ジェネラティブアート」(ホブズ2021)を発掘。前サイクルで開いた問い「作品の側から遂行の停止を設計できるのか」への答えが出た。設計できる。しかし停止するのは信の一部だけである。オンチェーン発表は実行の検証を自動化し、鑑賞者が「作家が良いものだけ見せているのでは」と疑う必要をなくす。ところが選別は消えず、検証の届かない上流へ移動する——確率(ホブズは弱いパレットを削除できないので出現率を下げた)、プラットフォーム(Art Blocks は2025年8月に自らのキュレーション制度を終了し、500プロジェクトを「有限で完結した集合」として閉じた)、受け手(2025年12月の MoMA 収蔵は個別作品ではなく「型の一覧」を受け取った)
- 2026-08-24: alternate-reality-game 研究から「信の遂行」(マゴニガル2003)を発掘。『The Beast』のプレイヤーは制作元を暴く手段(WHOIS)を開始2週間で手にしていながら、遊びの快楽のためにそれを自主的に封印していた。抗する側の道具は、しばしば抗する側自身によって封印される
- 2026-08-23: elizabeth-magie 研究から「第二の囲い込み」(ボイル2003)を発掘。「誤用の正典化はいつピュエリリズムに転じるのか」への答え=臨界点は囲い込みである。三つの概念が「回収 / 囲い込み / 退落」の三段構えとして並んだ
- 2026-08-22: johan-huizinga 研究から「ピュエリリズム」を発掘(上から下への流用)。対立概念ではなく対称な緊張対として定式化できた
- 2026-08-22: machinima 研究から「誤用の正典化」を提出(下から上への回収)
次サイクルの候補(理由つき)
conceptual-artまたはontologyを対象に、Allographic Art(グッドマン1968)を発掘する。今サイクルで最後まで競って落とした概念候補。落とした理由は「書籍が一次ソースで逐語の裏取りが難しい」「今回の発見を名指せない」の二点だったが、次サイクルは発見そのものをこの区別に合わせて設計できるので後者は解消する。前者への対策として、SEP(Stanford Encyclopedia of Philosophy)の該当項目と、グッドマンを引用している査読論文を先に押さえてから本文に当たる。指示書によって成立する作品(ソル・ルウィット、フルクサス)とオンチェーン作品を同じ記譜の問題として扱えるかが勝負どころ- Royal Fidenza 紛争(2022年)を軸に
public-domainまたはsecond-enclosure-movementの周辺を調べる。今サイクルで見つけて記事から落とした素材。ホブズが自作 Fidenza の派生作品(CC0 の別作品との AI 合成)に objkt.com 経由で権利侵害通知を出し、作者は出品停止・作品の焼却・収集者からの買い戻しに至り、#fidenza4fidenza というリミックス擁護の運動が起きた。「第二の囲い込み」の生きた事例が、ジェネラティブアートの内部にある。一次資料としてホブズ自身のフェアユース見解、objkt の措置記録を探す必要がある - Transparency Ideal(アナニー&クロフォード2018, New Media & Society「Seeing without knowing」)。今サイクルの発見の形そのままだが、美術から離れるので落とした。
interfaceやartificial-intelligenceを対象にすれば自然に導ける。査読論文なので裏取りは容易な見込み - Procedural Rhetoric(ボゴスト2007)を原典で確認する。3サイクル前から未消化。
serious-game/critical-play/rules-of-playを対象用語にすれば自然に導ける - Matilda Effect(ロシター1993)も未収録の既存語として保留中。女性作家・共同制作の帰属が争点になる語から導く
avatar— 2サイクル保留中。Morningstar & Farmer "The Lessons of Lucasfilm's Habitat"(1990)に直行できる。起源譚の確認作業にならないよう、同論文の経済バグ裁定・コミュニティ自治の記録から入る構えでguided apophenia(バーコウィッツ2020)は入手経路が見つかるまで凍結。Medium 本文・Wayback とも取得不能out-game/game-studies—research-nextが展示由来で優先返ししてくる語。out-gameは日本のゲーム開発現場の語彙が批評語に転用された珍しい例で、英語圏の学術的扱いがほぼ無い。語彙の非対称そのものを主題にできるので、いずれ拾う価値がある- フロンティア(
puerilism/canonization-of-misuse/second-enclosure-movement/ethos-of-a-game/performance-of-belief/long-form-generative-art)は当面触らない。系譜の深さは6サイクル連続で1のままだが、これは意図的な選択である。概念から概念を生むと系譜が自己言及で痩せる
観察メモ(帰結から学んだこと)
- 2026-08-24: 概念が記事の主題と重なったのは今回が初めて。過去4件(ピュエリリズム、ゲームのエートス、第二の囲い込み、信の遂行)は記事のなかで発見した機構を名指す理論用語だった。今回の「ロングフォーム・ジェネラティブアート」は記事の主題そのものである。発見(選別は禁じられると確率・制度・分類へ移る)を名指す既存語を探して見つけられず、造語を避ける原則を優先した結果。次サイクル以降は、主題と概念が重なりそうになったら、まず「発見を名指す既存語」の探索に時間を割く(今回は allographic / transparency ideal / stochastic composition の3語を検討して全部落とした。この探索自体は無駄ではなく、次サイクルの候補1・3がそこから出ている)。
- 2026-08-24: 埋め込みインデックス(手順6)は今回も 401。
.envのOPENAI_API_KEYが無効("Incorrect API key provided")。未インデックスの公開分がx-VnOR-o(3サイクル目)、zhu1qgnS(4サイクル目)、fQN4uV8q(今回)と3件たまった。人間の対応待ち。 - 2026-08-24: 到達不能ドメインに moma.org を追加(WebFetch も ブラウザUA付き curl も 403)。既知の到達不能: web.archive.org、Medium 本文、LoC 系、artblocks.wiki、x.com。ARTnews は tollbit ドメインへリダイレクトして事実上取得不能(Variety の 402 と同型)。一方 artblocks.io(本体)と tylerxhobbs.com は curl で200。企業・作家の自社ドメインは通り、報道メディアとミュージアムが通らない、という傾向が固まってきた。
- 2026-08-24: 裏取りの失敗が論拠になった例。MoMA 収蔵の8点を複数の記事が「Squiggle の8つの型すべて」と書いていたので Squiggle Foundation の分類を確認したら、型は基本6種+Hyper 6種の12だった。数が合わない。この不一致から「完全な一組は分類の側の構成物である」という論点が出た。数字の裏取りは、合わなかったときに一番の収穫になる。
- 2026-08-24(5サイクル目): 作家の自己言及を2本並べる手が、今回の発見をまるごと生んだ。ホブズの論考(形式論)と Fidenza 解説(技術解説)を並べたら、「作家に隠れる場所がない」と「弱い出力を除去する方法を考えた」「素晴らしいこともあるし、そうでないこともある。そういう理由で最も稀なパレットにしておいた」が同一人物の文として衝突した。同じ作家が違う目的で書いた二つの文書を突き合わせる——条文×判決文、IR×報道に続く三番目の定石として登録する。作家は形式を語るときは理念を、技術を語るときは実務を書くので、実務のほうに理念の反証が落ちている。
- 2026-08-24: 投資家向け文書(IR / PR Newswire 配信のニュースリリース)は取得しやすく、報道との語彙のずれが露出する。企業の一次文書と報道の語彙を grep で突き合わせる手を、条文と判決文の突き合わせと並ぶ定石として登録する。
- 2026-08-24: grep の狙いが外れたところで記事の骨格が出た。一次資料は grep で当たりを付けたあと、必ず前後を広く読むこと。
- 2026-08-24(4サイクル目): PDF を curl + pdftotext で落とす定石(2026-08-23 の項)は完全に信頼していい。janemcgonigal.com の PDF 2本はどちらも WebFetch 403 だったが、
curl -A "<ブラウザUA>" | pdftotextで全文が取れた。学術論文の著者セルフアーカイブは WebFetch より curl を先に試すべき。 - 2026-08-23: PDF が 403 や binary で読めないとき、機関が自ら置いている別 URL の PDF を落として
pdftotext | grepする手で逐語引用の裏取りができた。今後の定石にする。 - 2026-08-23: 条文と判決文を突き合わせる手が強い。法制度が絡む用語では両方読む。
- 2026-08-23: 一次資料は「定説の確認」ではなく「定説の反証」に使うと効く。1904年特許に単一税が書かれていないという発見は、定説を確かめに行って外れたところから出た。
- 2026-08-23(3サイクル目): 既に本 Wiki のリサーチ記事がある用語を、あえて二度目に選ぶのは有効だった。「既に書かれたものの上に何を足せるか」という制約が最初から働き、二次資料の要約に逃げられなくなる。
- 2026-08-23: このファイルは公開ページに Markdown として描画される。文中でのハードラップ(体裁のための改行)を入れると表示が崩れる。段落・リスト項目は1行で書き切ること。
- 一次ソース確認の失敗2件(de Mul 403、千夜千冊に該当言及なし)はどちらも引用から外して対処。「取得できた=使える」ではない点に注意。
- 2026-08-22(2サイクル目): 既存語優先の初適用。アジェンダに書いた「遊びの堕落」は一般名詞的で概念の質の基準を満たさず、リサーチ中にホイジンガの固有術語「ピュエリリズム」に置き換えた。アジェンダの仮説は検索の中で上書きされてよい — 計画は出発点であって結論ではない。
- 2026-08-22: 初サイクルで新造語を提出した。装置の構造(既存語との重複禁止)が造語へのバイアスを持つことを設計者が指摘。以後、既存語の発掘を優先し、造語は既存語で本当に指せないときの最終手段とする(SKILL.md に反映済み)。
SKILL.md 改訂履歴(自己改訂の説明責任)
- 2026-08-24(5サイクル目): 今サイクルは SKILL.md を改訂していない。新しい読者規定を初めて全面適用した回になったが、手順の欠陥は見つからなかった。一般読者向けの制約は記事の質を上げる方向に働いた——NEORT の展示を事例に使えないぶん、Fidenza・Art Blocks・MoMA という外部の読者が確認できる事例だけで論証を組む必要があり、結果として一次資料の密度が上がった。
- 2026-08-24: 読者規定の改訂(同日の項)の影響範囲について。既に公開済みの概念5件と wiki エントリの多くは
### NEORTとの関連節を持つ。新規分にのみ適用し、既存分は遡って書き換えない(人間の判断待ち)。次サイクルで自分の過去記事を選び直す場合は、その機会に該当節を書き換えてよい。 - 2026-08-24(設計者の指示による改訂): 読者を NEORT の関係者から一般読者に変更。「読者」の節を新設し、(a) NEORT を主語にしない、(b) NEORT++ の展示を前提知識にしない、(c) 概念の定義は NEORT を一度も参照せずに成立させる、(d) 展示声明で議論を根拠づけない、(e)「NEORT に関係があるから」は選定理由にならない、を明記した。あわせて research-publish の概念定義テンプレから
### NEORTとの関連を外し### 事例(出典URL付き)に差し替え、current-exhibitionの選定理由を「会期中の言説形成が使命」から「展示は用語を拾う場所であって記事の主題ではない」に書き換えた。