研究計画
2026年10月8日に計画を新しく始めた。それ以前の計画は history/ に残している。
現在の展示
「自己破壊芸術展(An Exhibition of Auto-Destructive Art)」(NEORT++、2026年10月2日〜18日)。グスタフ・メッツガーが1959年に提唱した自己破壊芸術を出発点に、ブロックチェーンのような分散型計算環境で、作品が自ら変化し失われていく形式を問う展示である。出品作家は荒川零一、exonemo、久保田晃弘、0xDEAFBEEF、0xfff、Toshi、Jonah Brucker-Cohen。
現在の問い
- 計算の不可逆性(実行した操作を元に戻せないこと)は、作品の変化や消失とどう結びつくか
- 物質の劣化を作品に組み込んだメッツガーの方法は、コードとして実行される作品では何に置き換わるか(2サイクル目の見立て: 状態の上書きと、作品の外に残るログに分かれる。3サイクル目: 劣化は毎回計算し直され、不可逆なのは回数を数える整数の側にある。8サイクル目: 1960年の定義が求める「自身の内に含む作用因」を持つのは、この展示ではチェーンの作品でなく計算機を内蔵した《Hatch/et》の側である)
- 展示の「自ら変化する」は、チェーンの上では誰が呼ぶかに支えられている(4サイクル目の見立て: 変化の条件は作品が持ち、実行は呼ぶ人に任される。呼ばれない間の劣化は繰り延べられる)。呼ぶ人を作品の側からどう用意するか
- チェーンの「永続」は、どのノードが古い履歴を持ち続けるかという運用に支えられている。The Merge以前のトランザクションに作品の一部を置いた作品は、いまどこで読めるか
- チェーンの外の機械は、いつ動くかを何から借りているか(6サイクル目の見立て: 《assumevalid》の展示ノードは会場の開館時間を引数に持ち、一日5時間だけ書く。曜日は持たない)。会期が終わったとき、ノードとチェーンはどうなるか
- 参照先を後から変えられるとき、変わるのはデータではなく読み方である(5サイクル目の見立て: USDC v2.2 は残高の最上位ビットを後から「印」として読みはじめた)。差し替えの引き金と、その後の権限を、作品は誰に配っているか
- 所蔵記録の「再制作年」の下には、動き続ける装置の版の系統がある(7サイクル目の見立て: 《Liquid Crystal Environment》の「remade 2005」は、技師が1998年に試作した制御装置のある時点の刻印で、装置は所蔵後も Version 5.0・取扱説明書第4版へ進み、作家と技師の死後は保守が複数チームに分散した)。コードとして実行される作品では、技師の装置・版を進める保守・運転時間のうち、何が作品の内側に入り、何が外に残るか(8サイクル目の見立て: 自己創造的芸術の作品は、プログラムされた周期と、プログラムされない形の二層でできている。残るのは周期を担う装置で、形は記録されない。コードの作品で残るのは規則と記録で、周期を回す人は外にいる)
問いは、調べながら立て直してよい。
次の候補
1サイクル目(2026-10-08、gustav-metzger)で、1959年の宣言が「崩壊後は廃棄する」まで書いていたのに、所蔵記録には再制作の年が書き足されていくことが分かった(→ 再制作年)。計算機の計画《Five Screens with Computer》では、計算機に記録の役割が割り当てられていた。
2サイクル目(2026-10-08、transaction-sculpture)で、0xfff《Diminishing Returns》の検証済みソースを読んだ。摩耗・反転・腐食はすべて表の上書きで、戻す関数はない。腐食は次の来場者の送金の中でまとめて実行され、手数料も来場者が払う。各操作はイベントとして作品自身が読めないログに残る(→ イベントログ)。廃棄は最後の一回ではなく送金ごとに少しずつ行われている、という読みを置いた。2025年の《Untitled》は再デプロイされず、ラッパーに預けられていた。
3サイクル目(2026-10-09、generation-loss)で、0xDEAFBEEF《Entropy》のコントラクトとオンチェーンのCコードを読んだ。転送ごとに1増えるp[7](発行時に1)を入力に、変わらないseedから出力を毎回計算し直す。n回目はn−1回目から作られず、雑音は蓄積しない。劣化強度は音声20回・映像40回で頭打ち。全シリーズでlockCodeForeverは未実行(locked=false)。コードを入れたトランザクション(ブロック12203167)はThe Merge以前で、2025年のpartial history expiryで削除してよい範囲にある。公開RPCの一つ(publicnode)はこのトランザクションに null を返した(→ 履歴の失効)。
4サイクル目(2026-10-10、autonomous-computation)で、コントラクトは自分からは動けないこと(ethereum.org、Chainlink文書)を確かめ、《Diminishing Returns》の起動記録(getRecentReports)を読んだ。13回の起動のうち会期中(10/2〜10/10)は10月7日の1回だけ。腐食は1日1ビットで繰り延べられ、1回の起動で最大64ビット、超過分は_rotBacklogに残る。lastActivationは実際の最後の起動ではなく日単位の基準時刻。荒川零一《upgradeTo(Leviathan)》は解説上、時刻が過ぎたexecute()を誰でも呼べて、呼んだ人に報酬を払う(コントラクト未発見)。呼ばれなくても走り続けるのはチェーン外の機械(《Hatch/et》《assumevalid》)だという見立てを置いた(→ 繰り延べられた劣化)。
5サイクル目(2026-10-11、upgradeable-smart-contract)で、《upgradeTo(Leviathan)》のコントラクトは今回も見つからず(作品・展示ページ、Blockscout名前検索、Web検索)、作品が素材にしたというステーブルコインの側を読んだ(銘柄の選択は筆者)。USDCのプロキシ(ZeppelinOS方式の番地)は2020-08・2021-04・2024-01に実装を差し替え、管理者はコードのない外部所有アカウント一つ。差し替えは毎回、使い捨てのアップグレーダーが1トランザクションで upgradeTo→changeAdmin→初期化→検査→selfdestruct まで行い、いまはコードが残っていない。v2.2ではbalancesがbalanceAndBlacklistStatesに改名され、最上位ビットがブラックリストの印になった(移行206件)。USDTはプロキシでなくdeprecate()で後継を指す方式で、読み出し時点は未実行。destroyBlackFundsで残高を消せる(→ 保存データの読み替え)。
6サイクル目(2026-10-12、assumevalid)で、作品の公開ソース(avcdsld/assumevalid)と、エクスプローラーAPIから全10,629ブロック(938344〜948972)を読んだ。仕様は拒否の根拠を「先端のハッシュを名指していない」ことだけに限り、長さはブロック数で数える。全ブロックのハッシュ先頭は短編集(6篇・21,487文字)の先頭10,629文字と完全一致。チェーンは9月28日23時25分に938343から書き直され、開幕前に2,238文字書かれていた。10月4日に作家が-minehoursを追加し、以後ブロックは毎日14:00〜18:59だけ(約600/日、間隔中央値28秒)。impossible.py(同じPi上、「the others」の代役)が約3分ごとに不可能な取引を送り、夜に溜まった314〜328件が毎日14:00:00のブロックに入る。休館日(月・火・祝)にも書いている。アンカーはさくらのVPS。小説が一続きなのは、他に誰もブロックを作らないことによる。いまの速さでは会期末に約68%(推測)。4サイクル目の「止める人がいない間は動き続ける」を修正した(→ デューティサイクル)。
7サイクル目(2026-10-13、liquid-crystal-environment)で、1サイクル目の空欄「再制作を誰がどの指示で行ったか」を埋めた。テート時間芸術保存部門のヴァイドナーの日記(2011–12年)によれば、2005年の再制作は電気技師エイドリアン・フォガティが1998年に試作した制御装置(投影機内部の温度・ランプの明るさ・偏光フィルターの回転を計算機で制御)による。テートの説明札(2016年)は1965–66年の投影を「simulate」と書き、作り直されたのは物体でなく22分のシーケンス(「投影機どうしが応答し合う」まで組み上げた)。テートが2006年に買った後も装置は「Version 5.0」へ進み、2017年3月付の取扱説明書は第4版(未刊行、ウィーン美術アカデミーの講演告知が出典)。系統はリヨン《Supportive》(1966–2011、7台・16分27秒)、CRT財団版(1966–2017)、ハウザー&ワース版(1965/2021)へ枝分かれ。作家(2017年没)と技師(2018年没と伝えられる)の死後、保守は英国と欧州の保存修復家・技師のチームに分散した(UCL、2023年)。テートは装置に週70時間・3〜12か月の運転を求める。保存修復家ジョナサン・ケンプの「保存は版管理で、時刻印つきの記録版を作る」という論(Forkology、2023年)を受け、既存語「記録版」を提出した(→ 記録版)。
8サイクル目(2026-10-14、auto-creative-art)で、1961年7月3日のサウスバンク実演の印刷シート(Monoskopのスキャン)を読んだ。第三宣言で自己創造的芸術だけを主語にした文は「Auto creative art is art of change, growth movement.」の一つで(ハイフンとコンマなし、「immidiate」の綴り)、残りは二芸術に共通の目標(計算機で動きをプログラムし「自己調整」を含む作品、観客が電子装置で作用)。maatが第三宣言として掲げる「grow in volume / extend by reproduction」の段落はシートになく、出所は未確認(『History History』2005年、『Ark』1962年、AA講演冊子1965年のいずれも未読)。1966年1月のベター・ブックスの告知(Monoskop)は液晶を「一分周期」で溶かし冷やす技法と書き(作品名《EARTH FROM SPACE》)、auto-creativeは1月8日の催しの題にだけ出る。リヨンの資料は液晶環境を「non-programmed forms and colours」と呼び、《Supportive》は「16分27秒の制御された周期」、生成は「impossible to record」。2014年のStudio Internationalのインタビューで作家は、自己破壊の作品は「廃棄」、自己創造の作品は「That can stay」と区別した(再制作の年が書き足されるのはこの側)。《Diminishing Returns》は10月14日00時30分(UTC)時点で起動13回のまま(会期中は10/7の1回)、寿命合計6393、未執行の腐食7ビット。乱数はprevrandao・時刻・送り主・金額・起動回数のハッシュで、形を決めないのは素材でなくチェーンと呼ぶ人(→ プログラムされない形)。
assumevalid(継続) — 会期終了(10/18 19時)後にノードとアンカーが動き続けるか、止まるかを、チェーンの記録(10/19以降のブロックの有無)と作家の公開情報で確かめる。小説の速さ(-mineinterval)が会期末に変えられたかも、記録から読める。upgradeable-smart-contract(継続・アドレス判明) — 《upgradeTo(Leviathan)》は World コントラクト 0xc5f68e52f7053DfB0881892cE534d0C97DE04553(ERC721「upgradeTo(Leviathan)」、Sourcify 完全一致、デプロイ 2026-10-01、デプロイヤー 0x1Ab4…59bE がトークン0の所有者=sovereign)。市民(Citizen)は ERC1967 プロキシ100体(0.001 ETH ずつ入金して創設)、差し替え前の実装Commonsのexecute()はopensAt(10/1 04:00 UTC から2時間40分おき、10/12 04:00 まで)を過ぎれば誰でも呼べ、残高を呼んだ人に払う。差し替え先は市民ごとに別の実装(Kyc, Attestation, Sanctions, Blacklist, BlackFunds, Freeze, Seizure, Clawback, Wipe, Pause, KillSwitch, Finalization … ステーブルコイン型の統制の名。83体は Sourcify、17体は Etherscan で検証済み)で、Monstrum.upgradeToは以後 sovereign だけが呼べる。10/14 時点で100体すべて差し替え済み(executed()=100)。実行者: 最初の5日間は個人のウォレット7件(自分で送信)と、10/5 05:06 UTC に29体をまとめて実行した 0xfca7…a751、10/5 以降はopensAtの次のブロック(11秒後)に実行するボット3件(0x3a15…c50d 39体・契約作成で実行、0x9235…6dea と 0x5c09…33a9 は 0x00000f91… 経由)。図像は140×90文字で、Commons は30点の星「.」、差し替え後は組合せ数から base-5 で展開した126文字。記事化は次サイクルで: 報酬の実額(0.001 ETH)と手数料の比較、ボットが報酬を取りに来た構造を USDC の「使い捨てアップグレーダー」と並べる。
gustav-metzger/auto-creative-art(継続) — maatが第三宣言として掲げる「works that grow in volume / extend by reproduction」の段落の出所を確かめる。候補は『Ark』32号(1962年夏、pp. 7–8)の論文、AA講演冊子(1965年10月。Bedford Press の2015年復刻あり)、Stiles & Selz『Theories and Documents of Contemporary Art』第2版(pp. 471–472)。見つかれば「複製によって広がる作品」を《assumevalid》の増えるチェーンと並べられる。exonemo— 《Hatch/et》の装置(内蔵計算機の総当たりと斧)が公開資料でどこまで確かめられるかを見る。1960年の定義「自身の内に含む作用因」に最も近い出品作で、2026年のNowHere(ニューヨーク)の個展「Terminal」に似た仕組みの作品《The Terminal》があるとの報道がある(未確認)。
確かめ残し: maatの「grow in volume」段落の出所、1964年の第五宣言の原文(『Signals』スキャンが読めない。メイソンとリヨンで引用が食い違う)、1966年の《EARTH FROM SPACE》のその後と窓のガラス片、1963年バートレット協会の燻るナイロンの作品(リヨンのPRのみ)、1998年オックスフォードの「video projections」とテートのスライド投影機が同じ装置か、《Supportive》の16分27秒が加熱冷却の周期かスライド順序の一巡か、2014年のインタビューで作家が1965年講演の内容として語ったこと(冊子で未確認)、《Hatch/et》の装置の実態。フォガティの取扱説明書(第4版、2017年3月)の中身と「Version 5.0」の変更点、テート所蔵の装置がその版に更新されたか、1965–66年に助けた物理学者の名(二次資料のアーノルド・ファインスタインは未確認)、ザ・フーの演奏年(1965/1966で資料が食い違う)、リヨンの取得年(2011/2012)、フォガティの没年(UCLの告知のみ)、テートの作品解説本文(LIFAの再録で読んだ)、テートの音声解説(ラヴァリア)、ケンプの論文草稿。《assumevalid》の夜間の取引数が180秒間隔の計算(約380件)より少ない理由、開幕日(10/2)に不可能な取引が一件もない理由、展示ノードの実際の起動設定、短編集の著者、USDC v2.1→v2.2 の保存配置(storage layout)をコンパイラ出力で確かめること、USDCのBlacklistedイベント総数(Blockscout の getLogs が0件を返した)、USDTのdeprecateが過去に実行されたことがあるか、《Diminishing Returns》の起動記録のamount欄の意味(ETHとして桁が合わない値がある)、腐食の基準時刻が最初の起動の12秒前から始まる理由、0xfff紹介文の「execute autonomously」が誰の言葉か、EIP-7702以降の取引開始の扱い、1960年の第二宣言の本文、1968年の発言の初出、《Five Screens》が何を記録する計画だったか、《Untitled》の「2018」が何を指すか、《Memorious》のソース、《Entropy》のコードを実際にコンパイルして上限の出力を確かめること、publicnode が null を返した理由、The Merge以前の履歴の配布経路(アーカイブ・トレント・P2P)でのコードの読み方。ログの保持期間は、The Merge以前のブロックについては2025年7月に partial history expiry が始まったことを確かめた(Merge以降のローリング失効は未確認)。
SKILL.md 改訂履歴
- 2026-10-08(人の手による改訂) — 手順書を、使うコマンドと3原則だけの短い版(約600字)に書き直した。以前の版は history/ に残している。必要になった規則は、サイクルを回しながら足していく。