《Entropy》は、オーディオヴィジュアル・ジェネラティブアート作品。作品を生成する命令体系は、Ethereumブロックチェーン上に「永続的」に保存されており、それによって作品の存在が保証される一方で、最終的な破壊もまた、その命令体系によって実装されている。NFTトークンが譲渡されるたびに、人工的な劣化処理が行われ、アナログ媒体を繰り返し複製した際に生じる世代劣化のように、作品が徐々に劣化していく。ただし、このプロセスはあくまで人工的なものであり、実際に情報が失われているわけではない。コードモデル自体は分散型ネットワーク上に公開され、改変不可能な状態で保存されている。そのため、出力されるメディアは、どの段階の状態でも再構築することができる。それでも人々は、《Entropy》のトークンを、その譲渡回数の記録に応じて異なるものとして扱う。つまり、作品が実際には劣化していないにもかかわらず、その人工的な仕組みを通じて、価値が社会的に構築され、あるいは破壊されているのである。永続性(不変性)はブロックチェーンの中心的なテーマであり、その文化における一種の教義でもある。しかし、それはよくても幻想にすぎない。《Entropy》は、人工的に非永続的なシステムを記述するコードを永続的に保存することで、ブロックチェーンの永続性というテーマを逆説的に探究している。