《人類》は、かつて地球上に広く分布していた大規模な人工構造群のシステム・アートである。個体ごとに形状差を持ちながらも、共通して高度な自己複製能力と、自身を改良・再設計し続ける特異な性質を備えていた。制作者および制作目的は不明であり、自然発生説と人工設計説の双方が現在も議論されている。構造群の最大の特徴は、単体では未完成でありながら、集団を形成することで都市、文化、言語、宗教、芸術、戦争といった巨大な情報構造を自己生成した点にある。一方で、《人類》は極めて脆弱であり、自身の活動環境を急速に変化させるという自己矛盾を内包していた。そのため、最終的には構造群全体がほぼ同時期に機能を停止したと考えられているが、その原因については未解明である。
今日、《人類》は何者かによる、知性そのものを媒体とした巨大なシミュレーションゲームであったという見方もある。本展では、2026年頃の人類を再現し、生体展示として鑑賞する。プレイヤーが「人類とは何だったのか」をプレイする工程そのものが、本作を完成させる最後の開発である。