《Long-term Nuclear Waste Warning Messages(長期的な核廃棄物警告メッセージ)》は、高レベル放射性廃棄物を数万年という時間尺度で安全に隔離するため、未来の人類へ危険を伝えることを目的に提案された警告システムである。放射能は目に見えず、その危険性は人類の言語や文化の寿命をはるかに超えて持続する。そのため、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は「未来の人類へ危険をどのように伝えるのか」という根源的な問いを内包した存在でもある。過去の言語や記号、文明が失われた現実において、この場所へ近づいてはならないという警告をどのように残すべきか。その課題は科学技術だけでなく、建築、美術、言語学、人類学など多様な領域を横断している。最終処分場は、不可視の放射能を扱いながらも、人類が未来に負う責任を可視化する象徴的な場所である。ゲームアートの視点から見ると、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は極めて特異なゲーム空間である。通常のゲームでは、プレイヤーは知的好奇心や探究心のもと、境界を越え、探索し、隠された報酬へ到達することを目的とする。しかし最終処分場では、その構造は完全に反転する。入口は存在するにも関わらず「決して中へ入ってはならない」というルールだけが未来へ託されるのである。ここでは探索しないこと、ゲームを開始しないことが唯一のクリア条件となる。未来のわたしたちがルールを破らないことを前提に設計される核廃棄物警告メッセージは、現代のあなたたちが仮想のプレイヤーに向けてルールをデザインする、壮大なゲームアートともいえる。
20世紀を代表するオランダの歴史家であるヨハン・ホイジンガは、人類を「ホモ・ルーデンス(遊ぶヒト)」と定義し、文化や文明の根底には常に「遊び」があると唱えた。文明の記憶と責任を維持するためのゲームデザインに、人類はこの初期設定された能力とどう向き合うか、クリアできないゲームとして対峙し続けなければならないだろう。