《loopScape》は、メディアアーティストのクワクボリョウタによる、特徴的なループ状のディスプレイにおいて対戦する、シューティングゲームの形式を借りたインタラクティブ作品である。通常、画面の左右や奥行きによって区切られるゲーム空間が円環のディスプレイとして構成され、プレイヤーはその周囲を実際に歩きながら対戦を行う。画面が連続した一つの空間となることで、自分が撃った弾は相手に当たらなければ画面を一周し、やがて自身の背後から戻ってくる。従来のシューティングゲームにおける戦略や空間認識は大きく変容し、プレイヤーは自らの身体を動かしながら新たな知覚を獲得していく。こうした鑑賞体験は、後年のクワクボによる知覚と想像力を喚起するインスタレーションへと発展する萌芽とも位置付けられる。21世紀の戦争がディスプレイを隔てた対戦に更新した世界において、本作は対戦ゲームである現実社会が陥る「報復のループ」という不条理を身体的に痛感させる。

本作において特筆すべきは、わずかなルール変更によって既存の認識を揺さぶる発想にある。トーラス構造(円環状)の世界では前後や内外の区別が曖昧になり、敵と味方、自己と他者、危険と安全といった二項対立も流動化する。プレイヤーはゲームを操作すると共に、空間の一部として身体ごと作品に組み込まれる。《loopScape》は、ゲームというメディアを娯楽ではなく、新たな空間認識や身体経験を生み出しながら、社会批評を伴う芸術へと転回した、メディアアート史における重要な作品である。