《マインドシーカー》は、超能力者である清田益章を監修に迎え、「超能力は訓練によって身につく」という発想をゲーム化した極めて異色の作品である。プレイヤーは「透視」「念力」「予知」などの課題に挑戦し、ゲームを攻略するというより、ブラウン管の外側にいる自己の潜在能力を鍛える「修練」の場としてゲームに参加する。また、当時は超能力ブームが一段落した時期であったが、その文化的熱狂を家庭用ゲームへ取り込んだ試みでもあった。本作は、アメリカの心理学者であるティモシー・リアリーが1985年に発表したコンピュータソフト『Mind Mirror』とも興味深い共通点を持つ。『Mind Mirror』は心理学理論をもとに、ユーザーの思考や人格を分析し、コンピュータを「自己認識の鏡」として用いることを目指したソフトウェアである。リアリーは、コンピュータを人間の意識が拡張するための器官として位置付け、自分の脳を再プログラミングすることを提唱していた。一方、本作もまた、ゲーム機をプレイヤーの能力が変化するための器官として提示した。両作品とも、画面内のキャラクターを成長させるのではなく、「画面外のプレイヤー」を変化させることを目的としているのである。
その意味で、《マインドシーカー》はビデオゲームを自己啓発や意識変容の拡張メディアとして捉えた実験的かつ本質的な作品といえる。今日では超能力の科学的妥当性とは別に、仮想のゲームが自己の変容により現実の認知や身体性の拡張に働きかけるインターフェースとなり得ることを早い段階で示した事例である。