《Passage》は、ゲーム開発者であるジェイソン・ローラーによる、わずか5分間で一人の人生を体験するアートゲームであり、ゲームを芸術として捉える議論を象徴する作品である。プレイヤーは若者として画面左端から歩み始め、時間の経過とともに老い、最後には必ず死を迎える。ゲームの終了は避けることができず、「死」はクリア条件ではなく、人生の終着点として描かれる。ゲーム内では、結婚相手と共に旅をするか、一人で進むかを選択できる。伴侶と歩めば得点を得やすくなる一方、二人であるがゆえに通れない狭い道も現れる。反対に、一人であれば自由に探索でき、人生の喜びや豊かさも異なる形となる。このシンプルな仕組みは、人生における「選択には必ず恩恵と代償が伴う」という事実を、ゲームのルールによって表現している。また、本作では宝箱を目指しても何も得られないことがある。「努力が必ず報われるとは限らない」という現実も巧みに織り込まれている。

本作は、物語や映像によって人生を語るのではなく、「遊ぶ」という行為を人生の比喩へと転換している。作家自身が述べているように、本作は「メメント・モリ(死を想え)」をテーマとしており、ゲームのルールが現実への詩的なメタファーとして機能している。限られた時間の中で何を選び、何を諦めるのかという問いは、プレイヤー自身の人生観を映し出す鏡となる。《Passage》は、ゲームならではのインタラクティブ性を通して、生と死、愛、時間、選択を深く思索させる。