《SPIRITS》は、モバイルブラウザ上での体験に最適化した、2026年の1年間にわたるアートプロジェクトである。ゲームエンジンを21世紀の画材として活用したアイルランド人アーティストのジョン・ジェラードは、本作のために世界中のビーチから96足のプラスチック製のサンダルや靴を収集した。その一つひとつには、かつて履いていた人々の知られざる物語が宿っている。ジェラードは、打ち捨てられたこれらの物を高解像度の「ガウシアン・スプラッティング」でフォトスキャンすることにより、それらを仮想的な彫刻へと変容させ、鑑賞者に油膜や海流を重ね合わせて想像するように誘う。このプロジェクトは、2026年にロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)にて、夏至・冬至および春分・秋分に関連した4つの24時間イベントを通して展開されているが、本展では、その中から夏至に発表された物語《SPIRITS #72》が、会場に堆積する寒水砂(炭酸カルシウム)と呼応する。
ビデオや従来の3Dスキャンとは異なり、《SPIRITS》は「ライブ」でレンダリングされる世界である。データをリアルタイムで読み込み変化するガウシアン・スプラッティングを活用することで、これらの仮想彫刻はデバイスにストリーミングされる瞬間のみ存在し、共創するプレイヤーが文化的な主役となる。
※「ガウシアン・スプラッティング」とは、無数の3Dガウス分布(ガウシアン)を空間に配置して、高品質な3Dシーンを高速に描画する技術。
※本文は2026年のLACMAによる作品解説をもとに作成しています。