フレームレートは、映像が1秒間に何枚のフレームで記録・再生されるかを示す指標である。本件の文脈では、単なる再生速度の説明にとどまらず、映像を「写真の連続体」として扱い、時間構造を再構成するための基礎条件として重要な意味を持つ。作品《Passing》の制作では、高解像度と高フレームレートを同時に満たす撮影条件が不可欠とされ、業務用高速撮影システムが用いられた。撮影では1秒間に480フレームを記録し、約20分の走行から約43万フレームが生成された。

このような高フレームレートの取得により、各フレームは3840×2160ピクセルの静止画として扱われ、時間軸方向へ積層して仮想的な三次元ボリュームを構成することが可能になる。通常の映像再生では、このボリュームから断面を直線的に取得するが、《Passing》では断面角度を自由に回転させることで、フレーム内に同時に存在するはずの時間の秩序を解体している。したがって、ここでのフレームレートは、映像の滑らかさを示すだけでなく、時間の同時性をどれだけ細かく分解し、再配置できるかを左右する制作上の要件として理解される。