フレームレートとは、映像が1秒間に何枚の静止画(フレーム)として記録・再生されるかを示す値で、fps(frames per second)で表す。映画は長く24fps、テレビ放送は地域の方式に応じて約30fpsや25fpsを標準としてきた。値が高いほど動きは滑らかになり、時間の分解能も細かくなる一方、記録するデータ量は比例して増える。1秒間に数百枚以上を記録するハイスピード撮影は、通常の速度では捉えられない現象を引き伸ばして観察するために用いられる。フレームレートは単に滑らかさの指標ではなく、映像における時間の刻み幅そのものを決める条件であり、高精細(ハイディフィニション)な解像度との両立は撮影機材の性能を大きく左右する。

映像を時空間ボリュームとして扱う制作では、フレームレートの意味がさらに大きくなる。各フレームを静止画として時間軸方向に積層すると、縦・横・時間の三軸をもつ立体が得られるが、この立体の時間方向の「密度」はフレームレートそのものである。密度が低ければ断面を斜めに切り出したときに階段状の破綻が生じ、slit-scanのように空間軸と時間軸を入れ替える処理も成立しない。つまりフレームレートは、時間の同時性をどれだけ細かく分解し、再配置できるかを規定する。

古澤龍の《Passing》はこの条件を制作の前提に据えた例である。高い解像度と高いフレームレートを同時に満たす必要から業務用の高速撮影システムが用いられ、1秒あたり480フレーム、1枚あたり3840×2160ピクセルで走行が記録された。結果として得られた40万枚を超えるフレームの集積が、断面の角度を自由に回転させても像が崩れない厚みのある時空間ボリュームを成立させている。