Leniaは、2015年にベルト・チャン(Bert Wang-Chak Chan)が考案した連続セルオートマトンである。ジョン・コンウェイのライフゲームを、空間・時間・状態のすべてにおいて連続へと拡張したものとして位置づけられる。従来のセルオートマトンが各セルを0か1の離散値で扱うのに対し、Leniaではセルの状態が0以上1以下の実数値をとり、近傍カーネルとの畳み込みで得た局所密度を成長関数に通して、値を増加(成長)させるか減少(死滅)させるかを決める。この定式化によって、ピクセルが明滅するような従来の動きではなく、顕微鏡下のプランクトンや細胞を思わせる有機的で滑らかな運動が現れた。
Leniaのパラメータ空間には多様な自己維持パターンが存在し、それらは形態と挙動にもとづいて「種」として分類・記録される。人工生命研究では、こうしたパターンを自動的に発見する探索手法の題材として用いられ、基盤モデルを利用した自動探索の研究にも接続している。2018年のVirtual Creatures Contestでの優勝やALife学会のOutstanding Publication受賞など科学的な評価も高く、同時にその映像的な魅力からメディアアートやジェネラティブアートの領域でも広く参照されている。ここでいう「生命」はあくまでシミュレーション上の人工生命であり、生物学的な生命そのものを指すわけではない。