AIアートとは、人工知能——とくに機械学習によって訓練されたモデル——を制作の中心的な手段として用いる美術作品、およびその領域を指す。1960年代のハロルド・コーエンによる作画プログラムAARONのように、規則を記述するかたちで機械に描かせる試みは古くから存在したが、2010年代半ばに敵対的生成ネットワーク(GAN)が、続いて拡散モデルとテキストから画像を生成するモデルが普及したことで、画像・音・映像・テキストを大量に生成できる環境が一般化し、独立した領域として意識されるようになった。

AIアートは、方法論としてはトップダウン的である。人間が学習データ、目的関数、評価基準、プロンプトといった上位の条件を与え、モデルはその方向に向けて出力を最適化する。局所的な規則の反復から予期しない秩序が立ち上がるボトムアップ的な人工生命(ALife)とは、この点で対照的である。またモデルの内部表現や判断過程は解釈が難しく、生成物がどのようにして得られたのかが作家自身にも見えないという不透明性が、この領域固有の主題となっている。

作者性をめぐる議論はこの領域の中心にある。完全に自律的な機械生成には著作権が認められにくい一方、アーカイブの構築、アルゴリズムのカスタマイズ、モデルの意図的な壊乱、出力の選別といった一連の判断が積み重なる制作では、人間の介入(human agency)が作者性の根拠として認められうる。ケヴィン・アボッシュは自らの実践を「データを用いた彫刻」と呼び、AIを画像の自動生成器ではなく、思想を抽象化・可視化する概念的メディアとして扱っている。