生成人工知能とは、大量のデータからその統計的な構造を学習し、学習したパターンにもとづいて新しいテキスト・画像・音・映像・3次元データなどを出力する機械学習システムの総称である。分類や予測を行う識別的なモデルと対比され、「与えられた条件のもとでもっともらしいデータを作り出す」ことを目的とする点が特徴で、敵対的生成ネットワーク(GAN)、拡散モデル、大規模言語モデルに用いられるトランスフォーマーなどが代表的な方式にあたる。深層学習と計算資源・学習データの大規模化にともなって性能が急速に向上し、2020年代には自然言語による指示(プロンプト)で出力を制御する道具として広く普及した。

人工知能研究全体が知覚・推論・行動を含む広範な領域であるのに対し、生成人工知能はデータ・目的関数・評価基準にもとづいて出力を最適化する仕組みとして設計される。そのため「こういう出力が欲しい」という方向づけを人間が上位から与えるトップダウン的な生成になりやすく、下位の相互作用から秩序が立ち上がる人工生命やジェネラティブアートの発想とは対照的な性格をもつ。また巨大なモデルの内部表現や判断過程は人間が解釈しにくく、しばしばブラックボックスとして扱われる。学習データに存在しない事柄をもっともらしく出力してしまう幻視(ハルシネート)は、この仕組みに内在する現象である。

美術の領域では、既存の画像や音の集積から新たな像を立ち上げる制作手段として用いられ、作者性・オリジナリティ・真正性をめぐる議論を呼び起こしてきた。アーティスト自身が用意したデータでモデルをファインチューニングする実践も広がっているが、その調整過程には人間の恣意的な価値判断が再び入り込む。