ブラウザは、URL欄に入力されたアドレスに応じてサーバーからデータを受け取り、画面上にウェブページや作品を表示するためのソフトウェアである。提示された文脈では、ブラウザは単に情報を閲覧する道具ではなく、ネットアートやWeb作品の成立条件そのものとして扱われている。たとえば、作品《Summer》では、各サイトがブラウザーを次のサーバーへリダイレクトすることで、複数のドメインをまたぐアニメーションが構成される。また《The Artist Is Present》の2022年版では、作品の外側にある閲覧者の機械の中でウェブブラウザが動作し、作品を再生する役割を担う。さらに《Brutal Divs》のように、CSSがブラウザの仕様に強く依存する作品では、ブラウザ自体が表現の前提となる。
一方で、ブラウザは作品を表示するだけでなく、接続速度やオンライン/オフラインの状態、リダイレクトの連鎖など、ネットワーク環境の制約を作品の体験に直接反映させる。ここではブラウザは、インターネット上の情報を読む窓であると同時に、作品を動かし、脆さや依存関係を可視化する実行環境として理解されている。