グスタフ・メッツガー(1926–2017)は、自己破壊芸術(Auto-Destructive Art)を提唱した芸術家である。2017年3月1日、ロンドンで90歳で死去した。ニュルンベルクのユダヤ人家庭に生まれ、1939年にキンダートランスポートによってイギリスへ逃れた。家族の多くはホロコーストで殺害された。こうした経験は、戦後の彼が核兵器、冷戦下の軍拡、資本主義、大量生産、環境破壊を相互に関連する問題として捉える視点につながった。
メッツガーは1959年のマニフェストで自己破壊芸術を「工業社会のための公共芸術」と位置づけた。ここでの自己破壊とは、作品が外部から偶然壊されることではなく、腐食、解体、消失といった変化が作品の構造にあらかじめ組み込まれ、時間の経過とともに作品そのものが消滅していく仕組みを指す。作品を成立させるシステムが同時に作品を壊していくという構造を通じて、社会が内包する自己破壊的傾向を可視化しようとした点に特徴がある。