Hi8とは、8mm幅の磁気テープを用いる家庭用アナログビデオ規格8mmビデオ(Video8)の高画質版として1980年代末に登場した規格である。輝度信号の記録帯域を広げることで従来の8mmビデオより解像度を高め、同時期のS-VHSに匹敵する画質を実現した。カセットが小型であることを生かした一体型のカムコーダーが普及し、撮影から再生までを個人が手元で完結できる環境を家庭にもたらした。1990年代を通じて家庭用映像記録の主流のひとつとなり、のちにデジタル方式のDV/Digital8やメモリーカード記録へ置き換えられていった。

映像表現の文脈では、Hi8はカムコーダーが「真実」の記録を初めて市井の人々の手にゆだねた時代の規格として参照される。テープ由来の粒子とにじみ、限られた解像度がもたらすやわらかい画面は、素人が撮った生々しい証言というニュアンスをともなう。今日の高精細(ハイディフィニション)映像があらゆるものを美しく見せ、もっとも説得力のある映像がたいてい最も合成された映像であるという状況に対して、Hi8の粗い表面はその逆を行う。すなわち、それが作られたものであることを見る者に示す。こうした質感の差そのものが、記録の信頼性や時代性を喚起する表現要素として用いられている。