高精細(High Definition, HD)とは、従来の標準解像度(SD)を大きく上回る画素数で映像を記録・伝送・表示する規格群、およびその状態を指す。走査線1080本や720本を用いる方式が代表的で、日本では研究開発時から「ハイビジョン」の名で知られた。2000年代以降の放送・パッケージ・ネット配信の主流となり、さらに4K・8Kへと拡張が続いている。解像度だけでなく、フレームレート、色域、ビット深度、圧縮率が組み合わさって画質を決めるため、フレームレートや色再現の設計と切り離して語ることはできない。
映像表現の観点では、高精細はあらゆる被写体を細部まで明瞭に、そして美しく見せる条件として働く。しかしその明瞭さは制作の痕跡を隠すことにもつながり、もっとも説得力のある映像がたいてい最も合成された映像であるという逆説を生む。粒子やにじみを残すHi8のような低解像度メディアが「作られたものであること」を露呈させるのに対し、高精細な画面はその手がかりを消し去ってしまう。
生成的な手法においては、HD解像度への拡張が技術的な課題として扱われる。低解像度の格子に制約されがちだったNeural Cellular Automataなどの手法では、粗い構造の生成と細部の描写を分離することで、フルHD相当のテクスチャや色を描き出す試みが進められている。撮影・制作の実務でも、高解像度かつ高ビットレートの素材のカラーグレーディングや再構成には相応の計算資源が要求され、高い解像度と高いフレームレートを同時に満たす撮影条件が作品の成立要件になることもある。