ヘンリー・ジョージ(1839–1897)は、19世紀アメリカの経済学者・社会思想家である。1879年に刊行した『進歩と貧困(Progress and Poverty)』は当時のベストセラーとなり、産業の発展にともなって富が増大するにもかかわらず貧困が解消されないのはなぜかという問いに、土地の私有という制度から答えを与えた。

ジョージの主張は「ジョージズム(単一税論)」と呼ばれる。人間が自らの労働や資本によって生み出した産物は100%その個人の所有物であるべきだが、自然や土地といった万人の共有財産から生じる地代の利益は社会全体に還元されるべきだという考えである。ジョージストたちは、土地の私有と地価の上昇による不労所得こそが都市の不平等と貧困を固定化させると分析し、所得税や消費税を撤廃して土地の立地価値のみに課税する地価税(Single Tax)の導入を訴えた。急速な工業化と都市への人口集中、地価の高騰が進んだ19世紀末のアメリカで、この思想は広範な支持を集めた。

ジョージの思想は、社会運動や税制の議論を越えて遊びの領域にも波及した。ジョージストであったリジー・マギーは、地主が富を独占する仕組みを遊びながら体感させる教育的なボードゲームとしてザ・ランドロードズ・ゲーム(家主のゲーム)を考案した。これがのちにモノポリーとして商品化される過程で、本来の批判的な意図は反転していく。