視覚メディアとは、視覚を通じて経験や情報を媒介する媒体の総称である。絵画や印刷物、写真、映画、テレビ、そしてディスプレイやプロジェクションといった電子的な表示装置がここに含まれる。それぞれの媒体は固有の解像度、視野、明るさ、時間の刻み方をもち、何がどのように見えるかをあらかじめ枠づけている。したがって視覚メディアは中立な伝達路ではなく、知覚の条件を編成する装置として捉えられる。
技術の発達は、しばしば媒体そのものを意識させない透明性へ向かう。解像度やフレームレートが上がり、画素の格子や動きの飛びが知覚の閾値を下回れば、鑑賞者は装置ではなく描かれた対象を見ていると感じる。しかし高精細化は同時に逆の効果ももたらす。表面の質感が細部まで再現されると、画面そのものが触れうる物として前景化し、視線は奥行きのなかの対象を捉える見方と、表面に密着して肌理をなぞる見方のあいだを往復する。美術史ではこの二つの見方が光学的なものと触覚的なものとして区別されてきたが、視覚メディアはその両方が重なり合う場である。
この経験は、静止した観察者が像を受け取るという図式には収まらない。鑑賞者はディスプレイに目を寄せ、焦点を合わせ直し、周囲を歩いて角度を変えながら関わる。像は主体の前に置かれた客体ではなく、身体と世界のあいだに生じる関係として立ち現れる。視覚メディアは、見るという行為を安定した受容から、身体的な関与と運動を含む出来事へと組み替える概念として理解できる。