スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で動作するコントラクトであり、ERC 規格の文脈では、NFT の移転や参照、権利管理などを扱う実装の基盤として現れる。ERC-721 が「どのコントラクトが正典か」を標準の範囲外とし、ERC-721 Metadata も参照先が変わらないことを保証対象外としていることから、スマートコントラクトは作品やトークンの存在を記録する一方で、その真正性や正典性を自動的に決めるものではないと位置づけられている。
また、ERC-721 では NFT の作成(minting)と破棄(burning)は仕様に含まれず、「別の手段」で実装してよいとされる。つまり、スマートコントラクトは標準化された移転処理を担うが、発行の瞬間や作品の成立そのものは標準の外に置かれている。ERC-2981 でもロイヤリティの実際の支払いは任意であり、ERC-5218 ではライセンス本文の法的内容はオフチェーンに残されるなど、スマートコントラクトが扱える範囲には明確な限界がある。
この文脈では、スマートコントラクトは「台帳上の記録」を担う技術である一方、真正性の判断や法的意味づけはクライアント、マーケットプレイス、発行者、プラットフォームなど、標準の外側に残された主体に委ねられている。