シリアスゲームとは、娯楽だけを目的とせず、教育、訓練、医療、政策立案、社会啓発といったゲーム外の実用的な目的のために設計・利用されるゲームの総称である。軍事や企業研修のシミュレーション、公衆衛生キャンペーンのゲーム、都市計画のワークショップなど適用範囲は広く、2000年代以降はデジタルゲームの普及とともに研究・実践の一分野として確立した。日本語圏では藤本徹らの研究を通じて紹介され、専門書にも基礎概念として組み込まれている。
シリアスゲームの理論的な核心は、プレイ空間と現実の関係の扱い方にある。参加者はゲームのプレイ空間を共有し、その内部では日常とは異なるルールの下で行動できる。失敗が実害を生まず、役割を交換し、意思決定の帰結を早送りで観察できるため、資源分配、ガバナンス、構造的な偏りといった複雑な主題を安全に検討する実験場として機能する。
ただし目的はゲーム内部で完結しない。得られた判断、技能、視点を現実の学習・仕事・社会参加へ移転することが成功条件であり、その意味でシリアスゲームが必要とするのは閉じた円ではなく制御された透過性をもつ境界である。この点でシリアスゲームは、遊びと現実を切り分ける装置としてのマジックサークル論に対し、両者を選択的に接続するインターフェースという理解を促す事例となっている。