自己創造的芸術(Auto-creative Art)は、グスタフ・メッツガーの思想において、自己破壊芸術と対をなす概念として示される。ここでの「自己創造」とは、作家が完成形を外から与えるのではなく、素材やシステムが自律的に変化し、新たな形態や視覚的構造を生み出していく過程を指す。メッツガーは1961年6月23日付の第3宣言を「Auto-Destructive Art, Machine Art, Auto-Creative Art」と題し、自己破壊と自己創造を、同時に進むひとつの過程として構想した。破壊は終焉ではなく生成の契機とされる。たとえば、ナイロンシートに酸を吹きかける実践では、素材が溶け落ちる過程そのものが動的な造形を生み、背後の空間を露出させることで、破壊を通じた新たな知覚環境が提示される。また、1965年の「リキッド・クリスタル・エンバイロメント」では、液晶の物理的変化によって色彩と光が自律的に変化し続ける環境が構想され、テクノロジーが生命のような成長や変化を模倣する側面が強調された。自己創造的芸術は自己破壊芸術と不可分な関係にあり、素材・自然・技術の自律的な作用を作品生成の中心に置く芸術として理解できる。