測定型量子計算(MBQC)は、クラスター状態と呼ばれる強くもつれた量子状態をあらかじめ用意し、その量子ビットを順に測定していくことで計算を進める量子計算の方式である。2001年にロベルト・ラウセンドルフとハンス・ブリーゲルが提案した。初期状態に量子ゲートを順に作用させていくゲート型の方式に対し、MBQCは、もつれた量子ビットの集まりを測定によって壊しながら計算する。測定はもつれを不可逆に消費し、後戻りができないため、一方向量子計算(one-way quantum computation)とも呼ばれる。
事例
久保田晃弘《Collapsed Constellations ─ 崩壊した星座》(2026)は、1次元のクラスターと、南インドの床絵コーラムの作図規則に基づく2次元格子のクラスターを測定して崩壊させ、その結果から直線だけで構成された多義的な図形詩をつくる。視点によって手前にも奥にも見えるジョセフ・アルバースの《Structural Constellations》(1948–66)の図形と、量子測定の不確定性を結びつけている。計算には、量子クラウドソフトウェア OQTOPUS を通じて、大阪大学QIQBの超伝導量子コンピュータ実機が使われた。同じ作家の《Poesia Povera ─ 削ぎ落とされた詩》も、測定型量子計算の手順に沿って詩を組み立てる。いずれも2026年10月にNEORT++で開かれた「自己破壊芸術展」に出品された。