Liquid Crystal Environment は、グスタフ・メッツガーが1960年代半ばから取り組んだ、液晶を用いた実験的な環境作品を指す。1965年のケンブリッジ大学での講演「芸術における化学革命」で披露され、感熱性の液晶をガラススライドに挟み、プロジェクターの熱によって変化させる仕組みを持っていた。素材には熱感受性液晶、35mmスライド、回転機構が用いられ、加熱と冷却のサイクルによって結晶構造と色彩が遷移する。さらに、5台の制御ユニットによる同期投影と可変の展示空間によって構成され、物理学者との共同研究を通じて最適な結晶の組み合わせが探られた。

この作品は、メッツガーの自己破壊芸術が示した破壊の側面とは異なり、「成長と再生」のプロセスに関心を向けたものとして位置づけられる。液晶が自己制御(Self-regulation)によって変化し続ける点に重要性があり、芸術家の主観的な「手」はそこに介在しない。投影されるサイケデリックな色彩は自然界の微細な変化をマクロに提示し、観客に没入的な感覚体験を与える「治療としての芸術」として構想された。後にこの技術はロックバンドのライブ演出にも取り入れられ、1960年代カウンターカルチャーの視覚言語の一部となった。