assumevalid は、ビットコインの標準的なノードソフトウェア Bitcoin Core にある設定で、指定したブロックとその祖先に含まれるトランザクションについて、スクリプト(署名)の検証を省略する。新しく参加したノードが過去の全履歴を検証し直す時間を短縮するための仕組みで、基準となるブロックはソフトウェアのリリースごとに開発者が更新する。検証を省けるのは、そのブロックまでの記録が多数のノードによって既に確かめられているという前提に立つからであり、ブロックの連結やプルーフ・オブ・ワークの確認など、ほかの検証は省略されない。
事例
荒川零一《assumevalid》(2026)は、この設定から名前を取り、記録が有効かどうかを一切確かめないブロックチェーンとしてつくられた。ネットワークは、ブロックのハッシュ値もスクリプトの結果も確かめず、存在しない資産を送るトランザクションもそのまま受け入れる。展示されたノードは、報酬も安全性の向上も伴わないハッシュ計算を続け、その結果から小説の文章を一文字ずつ掘り出していく。作品は、システムが動き続けたまま、それを成立させていた「検証する」という原則だけが壊れている状態を示す。2026年10月にNEORT++で開かれた「自己破壊芸術展」に出品された。