イベントログは、Ethereumなどのブロックチェーンで、スマートコントラクトが実行中に発行する記録である。Solidityではeventとして宣言し、emitで発行する。発行された引数はトランザクションのログに格納され、発行したコントラクトのアドレスと結びつけられる。最大3つの引数にindexedを付けると、検索に使える「トピック」として保存される。
ログには二つの性質がある。一つは、コントラクトの中からは読めないことである。Solidityの文書は、ログとそのデータは発行したコントラクト自身からも参照できないと書いている。もう一つは、ブロックが参照できる限り残ることである。文書はこれを「現時点では永久だが、将来は変わるかもしれない」と書いている。
このため、コントラクトの状態(ストレージ)とログは役割が分かれる。状態は書き換えられると以前の値がコントラクトの中に残らないが、変化のたびにイベントを発行しておけば、その経過はコントラクトの外に残る。ウェブサイトや閲覧ツールは、このログを読んで作品の履歴を表示する。
事例
0xfffの《Diminishing Returns》(2026、Transaction Sculpturesシリーズ)は、32のノードがそれぞれ持つ表を、使用による摩耗、乱数による反転、経過日数による腐食で書き換えていく。表を初期状態に戻す関数はなく、以前の状態はコントラクトの中に残らない。一方でノードは、摩耗のたびにWear、反転のたびにFlip、腐食のたびにRot、転送のたびにHopのイベントを発行する。作品の状態は削られていき、その一歩一歩の記録は作品自身が読めないログとして残る。2026年10月にNEORT++で開かれた「自己破壊芸術展」に出品された。