履歴の失効は、ブロックチェーンのノードが、古いブロックの本体やレシート(ログを含む)を保持・配布しなくてもよいとする取り決めである。Ethereumでは EIP-4444 で提案され、2025年7月8日にEthereum Foundationが、すべての実行クライアントが「partial history expiry」に対応したと告知した。これにより、The Merge(2022年)以前のブロックデータをノードが削除できるようになった。ブロックヘッダーは引き続き提供されるので、チェーンを最初から暗号的に検証することはできる。削除された履歴は、機関によるアーカイブ、トレント、P2Pネットワークを通じて配布するとされている。EIP-7927は、履歴の失効はデータの削除を義務づけるものではなく、許すものだと書いている。
チェーンの「現在の状態」(コントラクトのストレージなど)はこの対象ではない。対象になるのは、過去のトランザクションの本体と、そこから出たログである。そのため、トランザクションの入力データやイベントログに作品の一部を置いた作品では、それを読める場所が、すべてのノードから、履歴を保持する一部の提供者へと移っていく。
事例
0xDEAFBEEF《Entropy》(2021)は、作品のコード(C言語のソース)を、2021年4月9日に送られたトランザクションの入力データに置いている。このトランザクションはThe Merge以前のブロック12203167に含まれ、partial history expiryで削除してよいとされる範囲にある。コントラクトのストレージには、そのトランザクションのハッシュと、トークンごとの転送回数だけが残る。2026年10月に「自己破壊芸術展」(NEORT++)に出品された。
0xfff《Diminishing Returns》(2026)は、劣化の一つ一つをイベントとしてログに残す。Solidityの文書は、ログが残る期間を「現時点では永久だが、将来は変わるかもしれない」と書いている。