トランスヒューマニズムは、20世紀末に台頭した思想運動で、人間をテクノロジーによって強化・拡張し、生物学的な限界を超越させようとする立場を指す。提示されている目標には、寿命の延長、知能の強化、身体的制約からの解放などが含まれ、とりわけマインドアップロードによる不老不死の実現が中核的な夢として位置づけられている。ここでのマインドアップロードは、脳や心の状態をデジタル化し、心を情報として保存・転写することで、肉体を離れても人格や意識を継続させるという発想である。
この思想は、サイバネティクス以降に強まった「心は情報パターンである」という見方を背景にしており、心を物質的な脳の構造から抽出可能な情報の集合と捉える。ハンス・モラベック、マーヴィン・ミンスキー、レイ・カーツワイルらは、人間の心のデジタル化が技術的に可能であると主張し、トランスヒューマニストの議論を広めた代表的人物として挙げられる。特にカーツワイルは、シンギュラリティ到来後に人類が脳をコンピュータへアップロードし、デジタルな存在として不死を得るという予測を繰り返し述べている。
ただし、この立場には技術的・科学的懐疑論と、哲学的・倫理的反論の両方が存在する。提供された文脈では、トランスヒューマニズムは「技術の力で人類を生物学的制約から解放する」ことを目指す思想として説明されているが、その実現可能性や妥当性についてはなお議論が続いている。