サイバネティクスは、第二次世界大戦後に発展した制御論・情報論の枠組みであり、神経系と通信工学の類比に基づいて、生命や知能を「情報の流れ」として捉える考え方である。ノーバート・ウィーナーが1948年に著書『サイバネティクス』で提示した概念として知られ、脳とコンピュータの類似性を重視しながら、心や生命現象を物質やエネルギーではなく情報パターンとして理解しようとした。ウィーナーは「情報は情報であって、物質でもエネルギーでもない」と述べ、従来の唯物論的世界観の再考を促したとされる。
この発想は、20世紀後半の認知科学やAI研究にも大きな影響を与えた。人間の認知をアルゴリズム的な情報処理として扱う計算主義、脳をコンピュータに対応づける心の計算機モデル、さらにブレイン-マシン・インターフェースやフィードバック制御の研究は、いずれもサイバネティクスの延長線上にある。提供された文脈では、サイバネティクスは、人間と機械が共通の言語として情報を用いて結びつくという発想を生み、のちのマインドアップロードや全脳エミュレーションの議論の基盤になったと説明されている。