ルーディック・ミューテーション(遊戯的突然変異)とは、既存のゲーム環境——キャラクター、サウンド、アーキテクチャ、コードやアセット——を書き換えることでゲームの意味や機能を変異させる実践を指す概念である。アン=マリー・シュライナーが提唱し、商業ゲームを与えられたまま「遊ぶ」のではなく、改造や別の使用法、別の解釈を通してゲームそれ自体を作り替えるプレイヤー/制作者の主体性を捉えるために用いられた。作品は完成した画面のうちにあるのではなく、パッチ、プラグイン、mod、そしてその配布行為にまで分散している、という見方がここに含まれる。

この概念は1990年代後半から2000年代のゲームアートで中心的な役割を果たした。シュライナーの企画『Cracking the Maze: Game Plug-ins and Patches as Hacker Art』は、ゲームのパッチやプラグインをハッカー・アートとして提示した初期の試みである。『Doom』を改変し主人公をアニメ風の女性ファイターに置き換えた『Otakon Doom』や、『Marathon Infinity』のパッチ『Tina Shapes and Tina Sounds』は、商業ゲームがジェンダーや人種について抱える硬直したコードへのフェミニズム的介入として読める。一方、『Tomb Raider』の非公式パッチ『Nude Raider』は、こうしたアンダーグラウンドな実践が企業のPR戦略へ回収されうることも露呈させた。

ルーディック・ミューテーションは、ギャロウェイのカウンターゲーミング論やフラナガンらのクリティカル・プレイと並び、ゲームを固定された完成品ではなく内部から再記述しうる可変的な媒体として捉える視座を与えた。JODIやアーカンジェルらのモッディング実践を通じて、ゲームは「プレイするもの」から「アルゴリズムの暴走を観想するもの」へと解体されていった。