クリティカル・プレイ(批判的遊戯)とは、アーティストでありゲーム研究者でもあるメアリー・フラナガンが『Critical Play: Radical Game Design』(2009年)で理論化した概念で、ゲームを気晴らしの娯楽ではなく、概念的思考の道具、そして社会変革の手段として捉える立場を指す。
フラナガンは、ダダイストによる人形劇やボードゲームから、家庭空間を再編する『The Sims』のような現代のコンピュータゲームまで、遊びを通じて既存の価値を転覆させてきた「破壊的遊戯」の歴史を辿り、アーティストや活動家が設計するオルタナティブ・ゲームがゲーム産業に埋め込まれた規範的通念に挑戦しうることを示した。ジェンダー、植民地主義、世界的な貧困、エイズといった政治的・社会的な課題をルールやメカニクスの水準でデザインに組み込み、商業ゲームが抱えるマッチョイズムや暴力性を内部から批評する。批判は作品の外側に置かれた言説ではなく、遊ばれるシステムの設計そのものに宿るという点が要点である。
この枠組みは、既存のゲームシステムや美学を文脈をずらして再利用するアプロプリエーションの実践、ゲーム環境そのものを書き換えるルーディック・ミューテーション、アルゴリズムとしてのゲームを政治的に組み替えるカウンターゲーミングと隣接する。20世紀初頭のアヴァンギャルドが遊びに見いだした転覆的な価値を、ゲームデザインの言語で継承する理論的支柱として位置づけられる。