3Dスキャンとは、物体や空間の形状を計測し、その結果を三次元のデジタルデータとして再構成する技術である。レーザー光の反射時間を測るLiDAR、複数の写真から幾何形状を推定するフォトグラメトリ、赤外線パターンの歪みを読む構造化光方式などの手法があり、得られた点群やメッシュは、そのままCGモデルとして扱うことも、テクスチャを貼って現実の対象の写しとして提示することもできる。近年はガウシアン・スプラッティングのように、点群を直接レンダリングして写実的な見えを再現する手法も広まっている。

スキャンの結果は完全な複製ではなく、計測装置の分解能や視点の制約を反映した「読み取りの痕跡」を必ず残す。穴の空いたメッシュ、ノイズとして散らばる点、遮蔽された裏側の欠落といった不完全さは、しばしば作品の主題そのものとして扱われる。ジョン・ジェラードは3Dスキャンとリアルタイム3Dを組み合わせ、実在する場所を計測データとして取り込んだうえで、時間の流れる持続的なシミュレーションとして再構築している。

また、移動する視点から世界を順次サンプリングするタイプのスキャンは、時間軸に沿って画像を積層する時空間ボリュームの生成と等価になる。そこから任意の断面を切り出せば、消失点へ収束する遠近法的な空間が平行投影的な見えへと変容するなど、通常の映像では前提となる時間と空間の秩序を組み替えることができる。この意味で3Dスキャンは、形状の取得手段であるだけでなく、時間と空間の関係を操作するメディア的な手法でもある。