ゲーム研究とは、ゲームおよび遊び(play)を対象とする学際的な研究領域である。ゲームを娯楽商品としてではなく、規則によって組織された文化的・社会的な実践として捉え、デザイン論、文化人類学、社会学、メディア論、教育学の手法を横断して分析する。前史には、遊びを文化の根源に据えたヨハン・ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』(1938年)やロジェ・カイヨワの遊戯論があり、コンピュータゲームを主対象とする独立した分野としては2000年前後に成立した。初期には、規則の形式的分析を重視する立場と物語論的な読解を重視する立場の対立(ルドロジー対ナラトロジー論争)が焦点となった。
もう一つの中心的主題がマジックサークルである。日常の現実のなかに遊戯のために一時的に立ち現れる「隔離された意味空間」を指すこの比喩は、ケイティ・サレンとエリック・ジマーマンの『ルールズ・オブ・プレイ』(2003年)によって分野の基礎概念となり、プレイヤーを日常から切り離して没入を維持するという設計指針を与えた。しかしゲームと現実の断絶を過度に強調するものとして社会学的な立場から激しい批判を受け、ヤッコ・ステンロスらが比喩の混同を整理しながら擁護と再定義を試みている。
現在のゲーム研究は、境界の存在を前提とするのではなく、その選択的な透過性や撹乱そのものを分析の対象とする。パーヴェイシブゲーム、LARP(ライブアクション・ロールプレイ)、シリアスゲーム、政策シミュレーションはその典型的な事例である。またデジタル人文学の方法とも接続し、ビデオゲームをソースコードからパッケージまでを含む複合的な文化人工物としてアーカイブし分析する研究も進んでいる。