ハプティック・トポイとは、メディアの歴史のなかで繰り返し現れる触覚的・身体的な仕掛けの系譜を指す概念である。メディア考古学者エルキ・フータモは、メディア文化には時代や技術が変わっても反復される定型的な主題や演出の型(トポス、複数形はトポイ)があると論じた。その枠組みを触覚の側面へ拡張したのがハプティック・トポイであり、視覚性や物語の分析に偏りがちなメディア研究・ゲーム研究に対して、装置が身体に触れ、刺激を与える経験の歴史を可視化する視点をもたらす。

その系譜は18〜19世紀に流行した「エレクトリック・キス」や、20世紀初頭のアーケードに置かれた電気ショック機械にまでさかのぼる。これらは当時、神経の疲労を回復させる治癒的な体験として受容されていた。現代のアートゲームではこの意味づけが反転する。《PainStation》(2001年)や《Tekken Torture》では、プレイヤーがゲーム内でミスをすると、鞭打ちや電気ショックといった物理的な痛みが身体へ返される。デジタル空間での失敗が直接的な苦痛へ変換されることで、電気ショックと暴力・拷問・処罰の歴史的な結びつきが露悪的に前景化され、プレイヤーとゲームシステムのあいだの非対称な権力関係が露出する。

ハプティック・トポイは、こうしてインターフェースを通じた感覚の設計と、身体への介入によって遊びの構造そのものを批評する実践の双方を指す領域として用いられる。