地価税とは、土地の上に築かれた建物や事業の成果ではなく、土地そのものの立地価値に課税する税制である。経済学者ヘンリー・ジョージが1879年の『進歩と貧困』で提唱した「ジョージズム(単一税論)」に立脚し、労働や資本によって生み出された産物は個人の所有物であるべきだが、自然や土地という共有財産から生じる地代利益は社会全体に還元されるべきだと説く。ジョージストたちは、土地の私有と地価上昇による不労所得が都市の不平等と貧困を固定化させると分析し、所得税や消費税を撤廃して土地の立地価値のみに課税する「単一税」への一元化を訴えた。

この思想は、ボードゲームの歴史にも直接の痕跡を残している。リジー・マギーが考案した《The Landlord's Game》は、土地の独占が貧富の格差を拡大する仕組みをプレイヤー自身に体験させる教育的な装置として設計された。ゲームには土地を独占して他者を破産させる「独占ルール」と、地価による利益を社会全体で共有する「繁栄ルール」の二つが用意され、両者を順に遊ぶことで、制度設計の違いが経済と倫理にもたらす帰結が対比される。のちにパーカー・ブラザーズ社が『モノポリー』として商品化する過程では、マギーが最も重視した繁栄ルールが削り落とされ、地価税の理念は盤上から失われた。