インタラクティブ・アートとは、鑑賞者の身体的な操作や振る舞いと計算機環境との相互作用そのものを作品の成立条件に組み込む芸術実践である。作品はあらかじめ完成した固定物としてあるのではなく、入力(カメラ、センサー、コントローラ)と出力(映像、音響、機構)をリアルタイムに閉ループさせる系として設計され、鑑賞者の関与のたびに異なる状態を生成する。
歴史的な転換点はマイロン・クルーガーの《VIDEOPLACE》である。1974年から開発された同作は、鑑賞者の身体像をカメラで取得してコンピュータ・グラフィックスとリアルタイムに結合し、ヘッドセットやグローブを必要としない「人工現実(artificial reality)」を成立させた。ジェフリー・ショー《The Legible City》、レベッカ・アレン《The Bush Soul》へ続く系譜は、「画面を見る」観客を「計算される環境を身体で操作する」ユーザーへと変換していった。決定的なのはゲーム的な図像や商用プラットフォームではなく、身体—インターフェース—リアルタイム計算という関係そのものの作品化であり、この流れはHCI、拡張映画、VR、人工生命と深く接続している。
ゲームを題材・媒体とする芸術の系譜においては、この1970〜80年代のインタラクティブ・アートが最初の層に位置づけられる。2010年代以降のポスト・プレイヤー的実践——人間が操作しなくても計算世界は何をし続けるのか——は、初期インタラクティブ・アートの問い「人間の動作に計算機はいかに反応できるか」の反転として理解できる。