ポスト・プレイヤーは、ゲームの技術を用いながら、プレイヤーによる操作を作品の成立条件としない実践の傾向を指す語である。ゲームエンジンやリアルタイム3Dを、遊ぶための装置ではなく、映像を生成し世界を運転し続けるための装置として扱う。2010年代以降にメディアアートで顕著になった方向で、鑑賞者はコントローラを渡されず、自律的に進行する世界を眺める立場に置かれる。

メディアアートにおけるゲームの系譜は、身体と計算機の相互作用を作品化した1970〜80年代のインタラクティブ・アート、既存ゲームのコードやグラフィックをレディメイドとして扱う1990〜2000年代のmodやハッカー・アート、オンラインゲームを政治的な公共圏として占拠する2000年代の戦術的ゲーム介入と重なりながら形成されてきた。ポスト・プレイヤー的な実践はその第四の層にあたる。作者が一コマずつ描くアニメーションでもなく、プレイヤーが攻略するゲームでもなく、エージェントが互いに反応し続ける生態系として世界が構築される点が、それ以前の層との違いである。

ライブ・シミュレーションやワールドビルディングと呼ばれる制作の枠組みは、この傾向と重なる。2022年の展覧会《WORLDBUILDING》のように、複数世代の作家を同じ場に集め、ゲーム作品の歴史ではなく世界生成技術の美術史として編み直そうとするキュレーションの動きも現れている。