『Rules of Play: Game Design Fundamentals』(MIT Press, 2003)は、ケイティ・サレンとエリック・ジマーマンによるゲームデザイン論の代表的著作である。ゲームを「ルール」「プレイ」「カルチャー」という複数の水準から体系化し、記号論とシステム論の語彙でデザインの原理を記述しようとした。日本語版は『ルールズ・オブ・プレイ——ゲームデザインの基礎』として山本貴光訳で刊行されている。

同書の最も大きな影響は、「マジックサークル」をゲーム研究の主要な術語として定着させたことにある。サレンとジマーマンは、ホイジンガの記述に加えマイケル・アプターの「保護枠」やバーナード・スーツの遊戯的態度などを参照しながら、マジックサークルをゲームが創出する特別な時間と空間を指す簡略表現として用いた。ここでは、盤上の駒やデジタルな表象がゲーム規則のもとで新しい意味を帯び、「二次的現実」が立ち上がることが強調される。ジマーマン自身が後に振り返ったように、この概念はホイジンガからの継承であると同時に、1990年代から2000年代初頭にかけての再発明でもあった。

この定式化は、プレイヤーを日常から切り離し没入を維持するという設計課題に明確な枠組みを与えた。一方で後続の研究からは、ゲームは文化的文脈、倫理、利用規約、背景となる法から切り離せないという批判を受けている。『Rules of Play』は基礎理論書であるとともに、ゲームの境界をめぐる論争の出発点でもある。