戦術的ゲーム介入とは、商用ゲームやオンラインゲームの内部に入り込み、その既存の機能を使って本来想定されていない政治的・批評的な言説や行為を挿入する実践である。2000年代のメディアアートで、既存ゲームのコードやグラフィックを素材とするmod/ハッカー・アートの流れから分岐した。
核心は、ゲームを外側から風刺したり停止させたりするのではなく、サーバー、チャット、壁への spray、歩行、アバターといった仕組みを「意図と異なる方法で正しく作動させる」ことにある。ハッキングの本質を破壊ではなく用途変更(counter-use)と捉える立場であり、ゲームを閉じたフィクションではなく、戦争、軍事、ジェンダー、公共言説が実際に衝突するネットワーク空間として扱う。
代表的な作品では、《Velvet-Strike》が銃撃ゲームの壁面を反戦の掲示板に変え、《dead-in-iraq》が米軍のリクルーティング・ゲームを戦死者の名を打ち込む追悼碑に変え、《Operation Jane Walk》が軍事シューターの荒廃したマンハッタンを都市論的な建築ツアーの散歩道に変えた。Anne-Marie Schleiner や Joseph DeLappe が切り開いた方法は、直接の系譜関係を持たないまま、2010年代のAAAオープンワールドを舞台とする Total Refusal らの実践へ受け継がれている。
理論的には、ルールやプロセス自体が主張を行うとする procedural rhetoric に対し、その意味がプレイヤー側から変異させられることを強調する ludic mutation が対置される。戦術的ゲーム介入は、設計者の意図と使用者の流用というこの緊張を可視化する実践である。